鳴海真希子さんを語り集う会

2005年4月30日(土)の午後、トモノホール(市谷加賀町)で表記の会合が開かれました。
この日は鳴海さんが合唱指導やソリストとして出演し、共に歌った合唱団などの方を中心に51名が集い、充実した4回目の命日を青森のご両親とともに過ごしました。
まずお父さまからの、短い時間では語り切れないほどのお話にはじまり、伊原直子先生(東京芸大教授)諸角憲治さん(野村国際財団事務局長)飯島誠さん(京葉混声)らの想い出多きお話に、 故人の新たな一面を垣間見ることが出来たのではないでしょうか。そして芸大後輩の酒井理早さんのマーラー:なき子をしのぶ歌から〝何故そのように暗い災いの眼差しを〟を独唱、心温まる素晴らしい歌唱でした。 またジュリアードでの友人佐々木歩さんのヴァイオリン独奏で故人が愛したシューベルトのソナチネ第3番の2楽章、心に染み入る音色に感動しました。
次はいよいよ大きなスクリーンに映し出された真希子さんの登場です。 たくさんのヴィデオから選び編集された映像が、お父様の解説で次々と流れ、鳴海さんの堂々とした姿、 見事な歌唱に一同引き込まれるかのように魅入って居られるご様子でした。中でも、2002年1月17日の、生前最後に歌ったマリンホール先生公開レッスンでのマーラー『原光』は何と見事なものだったことか。
病気を微塵も感じさせない豊かに響く透明感溢れる発声、先生の熱心な指導をがっちりと受け止める鳴海さんの姿に、館内の見学者も全員息を呑んで聞き入っている気配が画面から湧き出してきました。舞台の蔭まで、車椅子でたどり着いたとはとても信じられない歌い方、いくらプロだからといっても不思議でたまらず、やっぱりあの人は偉大な歌い手だったと、皆も再認識されたことと思います。ティータイムに入って、ご両親を交えた歓談は涙あり笑いありの濃密で貴重なひと時でした。
最後は笹村寛太郎さん(学習院OB合唱団)の指揮で アヴェ ヴェルムコルプスをピアノ伴奏ヴァイオリン助奏で 故人に捧げしめやかに閉会となりました。 この日ご参集くださった方々、発起人としてまた数々の準備と進行・片付けに労をいとわず時間を割いて下さった方々に心から感謝申し上げます。まことに有難うございました。当団と、主にソリストとして9回も舞台を共にした故人のご冥福をここに改めてお祈りしたいと思います。

ジュリアード音楽院ではこの度、鳴海真希子賞が発足し第一回の受賞者も内定しており、ご両親は授賞式に招待されているそうです。以下はその事務局を務めるKさん(在ニューヨーク日本人)に、故人の母上満子さんが今回の催しの感想を知らせたメールの一節です。  ・・・・こんなに大勢の方々に大事に想われている娘が一層いとおしくなり、明日への希望となりました。 会場を離れる時には心が温かいものに包まれていました。いい時間をもてたことを衷心より感謝しています。 娘に去られても、こんなに充実した気持ちになれるなんて、本当に幸せものです。・・・・・・・(後略)

 

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